看護師の資格を取得するためには、文部科学省または厚生労働大臣指定の大学、短期大学、専門学校を卒業し看護師国家試験に合格する必要があります。
大学で学ぶべきなのか、専門学校で学ぶべきなのか、迷っている人もいるのではないでしょうか。
学ぶ期間や授業の内容、取得できる資格などに違いがあるため、将来どのような看護をしたいのかをイメージして自分に合った学校を選びたいですね!
看護師免許を取得するための学校の違いを現役看護師の筆者が詳しく解説します。
4年制大学
国立、公立、私立の4年制大学があります。
大学の特徴を詳しくみていきましょう。
じっくりと学べる
大学では4年かけて看護に必要な知識・技術を身につけていくため、3年制の看護学校に比べると深くじっくりと学べるという特徴があります。
看護大学では、看護の専門分野以外の一般教養についても広く学ぶことができます。
看護の知識だけでなく、幅広い分野の知識を身に付けたい方におすすめです。
看護師以外の資格も取得できる
看護師の資格だけでなく、保健師や助産師、衛生管理者、養護教諭の資格を取得することが可能です。
これらの資格を取得することで、看護の現場だけでなく様々な場所で活躍できる可能性があり、将来の選択肢が広がります。
また、大学を卒業すると看護学の学士の称号が与えられます。特定看護師や専門看護師、研究職など看護師としてキャリアアップを目指したい方は大学に進学するほうが良いでしょう。
大学卒の看護師は給与が高い
日本看護協会「2021年病院看護・外来看護実態調査」によると、看護師の初任給の平均は給与総額で専門学校卒は25万9233円、大学卒は26万7440円でした。
大学を卒業した看護師は、専門学校を卒業した看護師より年間で10万円程初任給が高くなります。
参考:日本看護協会「2021年病院看護・外来看護実態調査」
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/97.pdf
費用が高い
大学は専門学校に比べて費用が高くなります。
国公立大学、私立大学の4年間のおおよその費用は以下のとおりです。
- 国公立大学:250〜300万円ほど
- 私立大学:400〜700万円ほど
- 看護短期大学:350〜400万円ほど
- 看護専門学校:300万円ほど
公立大学の費用は概ね国立大学と同じですが、居住県であれば入学金が安くなるという特徴があります。
私立の大学は、大学によって費用の差がとても大きくなります。気になる大学があれば、ホームページで確認することをおすすめします。
このように大学の費用は高額になりますが、奨学金制度を活用することができます。
日本学生支援機構奨学金制度や、専門学校と同様に指定された病院で一定期間勤務することで返済が免除となる奨学金制度もあります。
奨学金の額・条件や返済方法については、それぞれの貸与期間において事前によく確認しておきましょう。
看護短期大学
看護短期大学は数が少なく、全国に20校程度です。
看護短期大学の特徴を詳しくみていきましょう。
3年で看護師の資格を取得できる
3年で看護師国家試験の受験資格が得られます。
看護学校と比較して、一般教養の授業時間が多くなっており、幅広く学ぶことができます。
また、短期大学を卒業することで、準学士の称号を得ることができます。
看護師以外の資格も取得できる
短期大学のなかには専攻課程を併設している大学があり、看護師免許取得後、1年専攻科で学ぶことで保健師や助産師の国家試験の受験資格を得られます。
保健師の国家試験に合格すると、養護教諭二種免許、第一種衛生管理者の免許を申請することで取得できます。
また、専攻課程に進むことで、4年制大学卒業と同等学位である学士の称号を取得することもできます。
※学士の称号を取得するには、独立行政法人大学改革支援・学位授与機関の申請条件を満たし、かつ所定の単位を取得し、機関での審査に合格した者に限られます。
4年制大学よりは費用がかからない
看護短期大学の費用は大学によって異なりますが、おおよそで350〜400万円ほどです。
看護専門学校と同等か、100万円ほど高いようです。
4年制大学、看護専門学校と同様に奨学金制度を利用できます。
4年制大学に編入できる
看護短期大学は、卒業時または在学時にほかの4年制大学に編入することができます。
より専門的な知識を学びたいと考えている方は編入も視野に入れるとよいでしょう。
短期大学で取得した単位を他分野の共通の取得単位として扱ってもらえることもあり、短期大学で学んだことは無駄にはなりません。
短期大学で学びながら4年制大学に編入するか考えるというのも選択肢のひとつですね。
看護専門学校
看護に必要な学びを短期間で学ぶことができます。看護専門学校の特徴を詳しくみていきます。
3年間で看護師の資格を取得できる
看護専門学校では、看護に必要な知識・技術を3年で習得することができます。
大学・短期大学に比べて一般教養の授業数が少なく、看護専門科目をメインで学ぶことができます。
最短で看護師の資格を取得することができますが、3年間で必要な知識や技術を学ぶ必要があり、スケジュールは過密です。
実習中や試験中は、アルバイトをすることも困難なほど忙しいです。
特に実習中は深夜まで実習記録や事前学習に追われることもあります。
大変ですが、短期間で看護を実践するために集中して学習できます。
実習が充実している
看護専門学校では現場での実習が充実しており、最終学年では臨地実習がメインになります。
学生のうちから様々な症例を学ぶことができるということは、大きなメリットです。
学生は点滴や採血などの技術の実施に制約はありますが、実習での経験は看護師になって働き始めた時に必ず活きてきます!
また看護専門学校では実習先に就職することも多く、就職する前にその病院の雰囲気を知っておけるというメリットもあります。
筆者が通っていた看護学校は病院附属の専門学校であったため、実習施設は全て母体の病院でした。ほぼ全ての学生が実習施設に就職します。
実習で各病棟の雰囲気を知ることができるため、入職してイメージと違った…ということを避けることができました。
費用が安い
看護専門学校は大学に比べると費用が安く、3年間で300万円ほどです。
一定期間指定の病院で働くことで返還が免除となる奨学金が受けられる専門学校もあります。
筆者の通っていた看護専門学校では、3年間指定病院で働くことで返済が免除になりました。
いわゆる、お礼奉公ですね!アルバイトもできますが、看護専門学校は忙しいため、ほとんどの学生が病院から奨学金をもらっていました。
まとめ
看護大学、看護短期大学、看護専門学校の違いについて解説しました。
学ぶ期間やカリキュラム、費用、取得できる資格に違いがあります。
将来どのように看護師として働いていきたいのかを具体的にイメージして、自分に合った学校を選ぶことが大切です。